私なりに解説してみたい。(1)資金調達のメリットは、まずオリジネーター(原不動産の所有者)の資金調達先が増資や金融機関借入以外に増えたことである。ついで、原所有者の信用に関係なく、不動産の内容によって有利な資金調達を可能としている。(2)流動性の付与は、不動産そのものを持つ代わりに、証券を持つことにより少額の資金しか持たない個人でも不動産を所有するのと同じ効果を生み出し、転売を容易にした。(3)不動産にかかわるリスクの移転については、二面から見る必要がある。もとの所有者にとっては、不動産を証券化するために設立したビーグル(ここで集めた資金がファンドである)に売却した段階で利益が確保できると同時に、基本的に売却後の元本や賃料の変動について関係がなくなってくる。さらに当然のことながら、もとの所有者の貸借対照表(バランスシート)上から不動産と借入金の二勘定が消えることになる。オフバランスである。一方、不動産証券化商品に投資した者にとっては、不動産本体を持ちたくても資金面、もしくは管理面などで保有できないときに、本体の代替物として意味を持つ。ただし購入後の不動産の元本や賃料の変動から生じる事態に責任を持たなければならない。したがって、不動産証券化商品に投資しようとする者が不動産について知識がない場合には、不動産証券化商品の販売業者は十分に購入者に将来性について説明をする必要がある。(4)原保有者は不動産証券化ビーグルへの投資者に不動産を販売することにより、資金の回収ができ、原不動産保有者の財務体質の改善に資することは大きい。(3)と繋がっている。(5)不動産証券化商品の誕生により、アンダーライター(株式、債券などの引受会社。証券会社の業務分野である)、格付会社、債権回収会社、不動産鑑定業、デューデリジェンス業者のような不動産と不動産金融にまたがる新しい事業、企業や商品が生まれた。(6)その他に付け加えるならば、小口資金の供給者が直接不動産に対して投資するチャネルが生まれた。従来は不動産投資をしたくて銀行預金する、というわけにはいかなかった。資金の配分は銀行の領分であり、自分の預金の半分は不動産投資へ、もう半分は全額国債投資にしてくれといったリクエストをするわけにはいかなかった。
(参考情報)
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